- はじめに
- トルクレンチとは
- 実整備における規程トルクの使用頻度を算出
- パレート図にて優先順位を選出
- 規定トルクの使用頻度とパレート図を確認結果
- 使用頻度とトルクレンチのカバー範囲をぶち当て
- オススメのトルクレンチ3選!!
- SDT3-135使用レビュー!!
- まとめ
はじめに
車やバイクの整備をしていると、走行安全に関わる部分は、トルク管理をしたくなりまして、トルクレンチが欲しくなってきましたので、どのトルクレンチがお得か調べてしました。
トルクレンチとは
まずは、トルクですが、別名は「ねじりの強さ・締め付けトルク」と呼ばれ、軸を中心とした回転方向の力ことです。
そのため、単位はNmで、軸から作用点までの距離と作用点に掛かっている力を掛け算となっています。
主にこの「トルク」という単位は工学系や機械系などで用いられることが多く、一般には聞くことが少ないかもしれませんが、これを測るためのものがトルクレンチです!!
余談ではありますが、締め付けトルクは厄介でして、ネジやナット、ボルト等の種類、めっき・油の度合いによっても異なってきます。
なぜ異なるのかは、マニアックな世界となりますが、ご説明いたしますと、本来物体を固定する力は、締め付けトルクではなく、ボルト自身にかかっている軸力です。
締め付けトルクは軸力の推定換算しており、推定するときに摩擦が関係していまして、その摩擦が変動するため、締め付けトルクが変わってくることになります。
もちろん、物体の固定にあたり必要な軸力も変わってきますので、締め付けトルクも変わることになります。
これらを設計値に合わせることで、正しい状態に保つことができるので、トルク管理のためにトルクレンチが必要なのです!!
詳細は下記のブログを参照していただけますと、よりディープな世界がわかるかと思います。
実整備における規程トルクの使用頻度を算出
実はトルクレンチには対応しているトルクの幅があります。
その幅以外では使用できないため、対応するためにトルクレンチを数本集めなければいけなくなってしまいます。
そこで、サービスマニュアル上の締め付けトルクをすべて抽出し、トルク値の分布を見るために、ヒストグラムを作ってみました。
総データ数は325個で、規定トルクの最頻値は9.8Nmでした。
範囲としては、2.1Nm~181Nmです。
パレート図にて優先順位を選出
パレート図にてカバーしていてほしい規定トルク値を確認してみました。
規程トルク値の80%をカバーしようとすると、9.8Nmから181Nmをカバーしなければいけません。
ただし70%のカバーであれば、9.8Nmから108Nmで良さそうです。
規定トルクの使用頻度とパレート図を確認結果
要は全てのトルク域をある程度カバーしていないと、1本で済まなくなり、低トルク用と高トルク用の2種類必要となります。
東日から発売されている汎用トルクレンチを表にしてみました。
トルクのカバー領域を参考にしていただければと思います。
商品番号 | 使用頻度 | トルク調整範囲(Nm) | ||
MIN | MAX | 1目盛 | ||
MTQL40N | 60% | 5 | 40 | 0.5 |
MTQL70N | 68% | 10 | 70 | 1 |
MTQL140N | 72% | 20 | 140 | 1 |
QL25N | 26% | 5 | 25 | 0.25 |
QL50N | 54% | 10 | 50 | 0.5 |
QL100N | 62% | 20 | 100 | 1 |
QL140N | 46% | 30 | 140 | 1 |
QL200N | 40% | 40 | 200 | 2 |
SDT3-135 | 83% | 6.8 | 135 | 0.1 |
使用頻度とトルクレンチのカバー範囲をぶち当て
トルクレンチの守備範囲を調べた結果を調べ、ヒストグラムにしてみました!!
使用頻度はどれくらいのトルクをカバーできるかを表しています。
東日のトルクレンチを基準にしており、MTQL70Nはなかなか好成績ですが、SK11のSDT3-135が最強ですね。
これは、デジタルトルクレンチであるために、6.8Nm~135Nmまでカバーしているからで、車の整備用に作られていると思っても過言ではありません。
オススメのトルクレンチ3選!!
ということでオススメトルクレンチはデジタルであればほぼほぼオススメできます。
その中でもオススメのものをご紹介します!!
SK11 デジタルトルクレンチ SDT3シリーズ
SK11はホームセンターなどにも売っている総合工具メーカーです。
このメーカーが発売しているコスパ最強で、アマゾンでも上位に食い込む売れ筋モデルです!!
ショートモデルとロングモデルがありまして、トルクの対応幅が異なりますので使用用途に合わせて購入するといいかと思います。
後程ご紹介しますが、僕も使っておりますが、全然不満ありません。
SK11 デジタルトルクレンチ 差込角 9.5mm 3~60N・m SDT3-060
- 出版社/メーカー: SK11(エスケー11)
- 発売日: 2012/11/01
- メディア: Tools & Hardware
- この商品を含むブログ (6件) を見る
SK11 デジタルトルクレンチ 差込角 9.5mm 6.8~135N・m SDT3-135
- 出版社/メーカー: SK11(エスケー11)
- メディア: Tools & Hardware
- この商品を含むブログを見る
KTC デジラチェ GEKシリーズ
言わずと知れたKTCのデジタルラチェットでオススメです!!
定番商品で、間違いありません!!
こちらの商品もロングバージョンありますので、使用用途に合わせて、選んでいただけますと幸いです。
スナップオン デジタルトルクレンチ ATHCH2F100BN
世界の総合工具メーカーのスナップオンから発売されている最強のデジラチェです。
持ち手のところがロングになっており、規定トルクが100Nm以上でもラクラクで締め付けられます。
また角度締めにも対応しており、エンジンなどを分解組み立てする方にもオススメです。
これ1本あれば整備に困らないでしょう!!
Snap-on スナップオン 3/8Sq トルクレンチ デジタルアングル付 ATECH2F100BN
- 出版社/メーカー: スナップオン(Snap-on)
- メディア: その他
- この商品を含むブログを見る
SDT3-135使用レビュー!!
トルク対応幅から、購入したのはSDT3-135です。
ホイールをしめる事が多いと考えまして、100Nmまで対応している必要がありました。
また、そこまで小さなトルクは、走行安全性に関する部分が多くないと思いまして、最悪トルク管理できなくてもいいかなと。。。笑
ずっと使い続けておりますが、コマ数は少なく空転トルクが高いものの、最低限の機能はありますし、特に不満なく使えております!!
証明書も入っておりまして、とても信頼できると思います!!
おまけでSDT3-135のスペック
スペックは以下の通りです。
精度保証範囲は重要ですので参考までに。
精度:右回転±3% 左回転±4% ※1
LEDランプ数:6個 ( 赤2個 + 緑4個 )
操作モード:ピークホールド/トラック
測定単位:N・m
換算単位:インチ/フィート/kgf
ヘッドタイプ:丸型ラチェット
歯数:52
操作ボタン数:4
電源:単4電池 2本
連続使用:約48時間
待受:約6ヶ月
使用温度:-10℃~60℃
保管温度:-20℃~60℃
湿度:90%以下 ( 結露無きこと )
落下テスト:1m
振動テスト:10G
環境テスト:合格
電磁解放試験:合格
※1
精度保証範囲は、ISO/JIS規格範囲同様
最大測定トルク値の20~100%となります。
それ未満の測定値の精度は、ISO/JIS規格が定める
精度±6%に準じています。
従って、精度保証範囲は下記の通りです。
SDT3-030 精度保証範囲 6~30Nm
SDT3-060 精度保証範囲 12~60Nm
SDT3-135 精度保証範囲 27~135Nm
SDT4-135 精度保証範囲 27~135Nm
おまけでSDT3-135の取扱説明書
取扱説明書をアップロードしておきますので参考にしてください。
まとめ
みなさまいかがでしたでしょうか?
SK11等には記載していませんでしたが、どうやらトルクレンチの補償範囲は27Nm~のようで、ここの範囲外では±3%の誤差に収まらないかもしれません。
ここら辺を念頭に置いて、おすすめのトルクレンチをチョイスすると、コスパではSK11で、最強はスナップオンですね!!